室内音響設計
室内の響きについては、バランスが重要です。
響きが強すぎると演奏の妨げになり、極端に響きが少なすぎると音楽に違和感が生じてきます。
吊り下げ式音響調整パネルを使うことによって、お客様のお好みの響きに調整することができ快適な音環境を作れます。
最適な残響時間を下記の式にて求めることができます。
平均吸音率を20~30%にすることで最適な残響時間になります。
室内の容積が増えれば最適残響時間が長くなります。
最適残響時間
幅×奥行き×高さ | 室容積 | 表面積 | 最適残響時間 | |
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4.5帖 | 2.7m × 2.7m × 2.4m | 17.5m³ | 40.5m² | 0.20~0.31秒 |
6帖 | 3.6m × 2.7m × 2.4m | 23.3m³ | 49.7m² | 0.21~0.34秒 |
8帖 | 3.6m × 3.6m × 2.4m | 31.1m³ | 60.5m² | 0.23~0.37秒 |
10帖 | 4.5m × 3.6m × 2.4m | 38.9m³ | 71.3m² | 0.25~0.39秒 |
16帖 | 7.2m × 3.6m × 2.4m | 62.2m³ | 103.7m² | 0.27~0.43秒 |
音響障害の防止
快適な音空間を実現するためには、響きだけではなく、音質を悪くする反射音を無くすことが必要です。
フラッターエコーという言葉をご存知でしょうか。これは、平行な天井と床の間で音が繰り返し反射して、その音が断続的に聞こえる現象のことです。「鳴き竜」とも言われ、日光東照宮の薬師堂で体感することができます。
面白い現象ですが、これがピアノ防音室で起こると、音が濁ったりリズムが乱れたりする原因となります。
並行する大きな反射面の対策
- 拡散処理(形状変形)
→部屋の形状を変形する
→拡散体を取り付ける - 吸音処理
→内装仕上げを吸音構造にする
→音響調整パネルを取り付ける
ありがちな音響トラブルの原因と対処法
症状A
- 声がわんわん響いていて何を話しているかわからない
- コーラスやクラシック音楽の演奏が響かないので物足りない
- パーティールームや会議室がざわざわした感じで話がしにくい
主な原因
- 残響時間が適切でない
解決のヒント
残響時間は部屋の内装材料に何を使うかで決まります。
症状B
- 太鼓の音やスピーチの声がダブって聞こえる
主な原因
- 有害な反射音が発生する室形や仕上げになっている
解決のヒント
音のダブりは、建物が原因の場合と音響システムが原因の場合があります。
建築で原因となることが多いのは、音源方向から見て正面にある壁(ホールの後壁等)や高い天井からの反射音です。有害な反射音を無くすには、壁や天井の角度を変える方法と反射する面に吸音材を貼る方法があります。
音響システムでは、スピーカーが複数箇所に取り付けられていると、別々のスピーカーから次々に音がダブって聞こえてくることがあります。
通常このような場合は、ディレイ装置を使って各スピーカーから音を出すタイミングを調整するのですが、その調整にはある程度の技術を要します。
元々ディレイ装置が組み込まれていない、調整がうまくいっていない、各スピーカーの向きやレベルバランスが悪いこと等が原因になります。
調査を行った結果、再調整だけで改善した例もあります。
症状C
- 低い音がこもって聞こえる
主な原因
- 低域の吸音が不足している
解決のヒント
吸音材を貼るだけでは、高い音は吸音されても低い音には効果がありません。また、一般的には吸音効果があると思われているカーペットやカーテンも低域に対しての効果は僅かです。
低域を吸音するには、吸音材の背後に大きな空気層を取る、吸音材を厚くする、共鳴型の吸音構造を用いる等の方法があります。
症状D
- 演奏しにくい
- 合奏者の音が聞こえない
主な原因
- 残響時間が適切でない
- 音響反射板が無い、形状が悪い
- ステージ上の拡声に問題がある
解決のヒント
音楽を聴くのにちょうど良い残響時間があるように、音楽を演奏するのにも適切な残響時間があります。音響反射板の役割は、有益な反射音を観客に届けることと、演奏者自身に返すことです。
電気音響システムを用いた演奏では、演奏者にスピーカーで自分自身の音や他の演奏者の音をフォールドバックスピーカーで返しています。
このステージ上の音響も観客席に対する拡声と同じくらい重要なものです。
症状E
- スピーカーの音が悪い
主な原因
- 電気音響設備に問題がある
- 設置する部屋や置き場所に問題がある
解決のヒント
「音が悪い」というと、スピーカーが悪いと思われがちですが、部屋に原因があることも少なくありません。音響設備と部屋の両面から「音が悪い」原因を探っていくことが大事です。