遮音性能の表し方
遮音性能は、壁に入る音(入射音)のレベルと、壁を透過する音(透過音)との音圧レベルの差をデシベル(dB)で表した透過損失【D値】で表します。
遮音等級【D値】
遮音性能を評価する尺度として「遮音等級」が規定されています。
遮音性能の求め方は、中心周波数125、250、500、1000、2000、4000Hzの6帯域における音圧レベルの差を測定、日本建築学会の遮音基準曲線【表1】にあてはめ、測定値がすべての周波数帯域において、ある基準曲線を上回るとき、その最大の基準曲線につけられた数値によって遮音等級を表します。ただし、測定誤差などを考慮して各周波数帯域の測定値に2dBを加えることが許容されています。
※D値は「JIS A 1419:1992」に規定された遮音等級であり、2000年1月に改定された現「JIS A 1419:2000」においてDr値に変更されておりますが、D値=Dr値と考えて問題ありません。
【表1】遮音等級の基準周波数特性
遮音等級と住宅における生活実感との対応例
日本建築学会による性能基準
居室では40~45dB程度が許容とされ、ピアノ室の場合は遮音性能D-50程度を確保すれば、ある程度ご迷惑をかけずに済むことがご理解頂けたかと思います。
暗騒音について
ある対象の音を考える場合、その音が無いときのその場所における騒音を「暗騒音」と言います。
深夜になって周りの暗騒音が低くなると、近隣からの音や、エアコン室外機などによる騒音が際立って聞こえるようになります。そのため、暗騒音の低い場所に立地する住宅・マンションは騒音のトラブルが発生しやすいのです。
遮音設計の必要性
防音工事で重要な事は、室内で出す音が隣接する部屋やご近所様に対して、迷惑にならないようにすることです。
ピアノ室ならD-50~D-55程度、ドラム室など低音や振動まで考慮するお部屋の場合はD-65~D-70を目標値として防音室の設計を行います。
これは、隣室や隣戸の使用条件によって必要な遮音性能は変わりますが、特にマンションなどの集合住宅においてはわずかな音でも苦情になることが多々あります。そのための対策を、しっかりと取る必要があるのです。なお、これはあくまでも数値的な話で、音は人の感覚によって聞こえ方が大きく異なりますので注意が必要です。